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有峰のチョウハイの道へ③ [旅]

有峰記念館を出ると、登山基地で有名な折立へ向かう道の案内看板が出ています。
近いうちに折立のお世話にもなりそうな気配なので、少し折立の様子も見て行くことに
しました。

有峰記念館から折立までは意外と近くて、あっさりと到着です。

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折立のキャンプ場前には、ズラリと車が駐車してあって、
ここまで車で入っての登山は、お盆などの混雑期は難しそうでした。

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折立のバス停前の小屋の様子など、しっかりと前回の記憶のままで、
少し安心しました。

車を停めるところも無いので、早々に折立を後にして、
今回の最大の目的であるチョウハイの道、大多和峠に向かいました。

→前回の記事はこちら


大多和峠へは、もと来た道を戻って、湖の南側の西谷のところから分岐し、
南西方向へと標高を上げて行きます。

道幅は少し狭くなって、道路の上には、木の枝や、小石なども少し乗っていて、
少し寂しい感じの峠道になってきます。

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↑ 湖面のあたりが標高約1000m、大多和峠で標高1295mですから、
約300mほど上りきると、大多和峠に到着です。


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↑ 以前は、大多和、佐古、跡津川村へ伸びる林道が繋がっていた筈ですが、
今は、ゲートが閉じられていて、通行止めになっていました。

ゲートの横には、人ひとりなら通り抜けられるスペースは作ってありました。
良く登山道などで見かける車止めと同じ様な感じです。

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ゲートの横から中に入って、少しだけ歩いてみました。
舗装はされていませんが、かなりしっかりした道になっていました。
草も刈り取られている様ですし、まだある程度は保守されている様でした。

道を歩いている時、やはりチョウハイの事を思い出します。

毎年、まだ雪も残る初午の頃、有峰の女衆はこの道を通って、
チョウハイ宿に向かうとき、何を想っていたんでしょうね~

体調が良ければ、大多和集落跡くらいまで歩いてみたかったのですが、
その日は、夜な夜な走ってきたせいか、体調がすぐれません。
残念ながら、直ぐに引き返してしまいました。

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峠まで戻ると、遠く薬師岳が見えていました。
有峰湖は見渡せませんでしたので、
この峠から、有峰の集落が見えることも無かったのでしょうね。

さて、一通り目的を達したし、体調もすぐれないので、
ここらで帰還の途につくところですが、
ここまで来ると、跡津川谷の集落の様子も見たくなります。

飛越トンネルを越えて国道41号まで出て、神岡経由で、
跡津川谷の集落を目指すこととしました。

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↑こちらは、飛越トンネルを下りてきて最初の集落となる和佐府の集落です。

飛越トンネルと大多和峠の丁度中間くらいのところに、唐尾峠という峠があります。
この峠も昔、大多和峠とならぶ飛騨川への重要なルートだった様です。

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「有峰物語」によると、この唐尾峠経由で有峰と繋がっていたのが、和佐府の集落だそうで、
和佐府と有峰の間にはチョウハイは行われていなかったそうですが、
婚姻関係は結ばれていたそうです。

そして、細くて寂しい山道を延々と進んで、漸く国道41号線に出ます。
国道41号に出ると直ぐにスーパーカミオカンデで有名になった神岡町です。

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神岡は鉛や亜鉛の大きな鉱山があったことで有名で、あのイタイイタイ病の原因となった
鉱山でもあります。
国道沿いには今でも精錬所が稼動している様でした。

どことなく足尾銅山を連想される空気感があります。
神岡は、ここだけを目的に1日かけてゆっくりと回ってみたいと思いました。

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そして、国道41号線を暫く走り、「土」の集落から右に曲がり、
跡津川谷に入って3km程行きますと、跡津川の集落に出合います。

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跡津川こは、まだ人も住んでおられる様で、ここまでの道路も狭いですが、
綺麗に整備されています。

ここに有峰のチョウハイ宿があったということですね~
そして綺麗な道路ですが、この道が有峰の女衆がチョウハイに通った道
ということになります。

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さらに狭くなる道をゆっくりと2キロほど進むと、佐古の集落がありました。

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佐古は既に廃村になっているそうですが、
残っている家はどこも手入れがされていそうですし、
車が置いてあったりと、まだまだ人の気配がしています。

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夏の間や、冬の間も少しづつ元の住民の方が
戻ってきては、手入れをされているに違いありません。

送電線も活きていそうですので、まだ電気も来ていることでしょう。

こうして、住み慣れた故郷を捨てきれず、ときどき戻ってきては、
家や庭の手入れをして暮らす人々。

全国に廃村となった村が数多くあると思いますが、きっと
同じ様な状況のところも多いことでしょうね。。。

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そして、佐古の集落を過ぎて暫く行くと、道は舗装が切れて、
そこで通行止めのゲートが行く手を阻みます。

この先には、少し開けた大多和の集落がある筈ですが、
今回はそこまでは行けません。
大多和の集落は土地が開けていた為、稲作が可能だったそうです。

一応、Googleの衛星写真で確認してみると、
確かに大多和のあたりは、土地が開けていて、稲作もできそうな
平地が広がっていることが判ります。


大きな地図で見る

次回、体調が良いときに、大多和まで徒歩で行ってみようと思います。

さて、
有峰のチョウハイ宿があった佐古と大多和の集落は既に廃村状態だそうですが、
有峰の集落を沈めてしまった国の責務として、その枝村である大多和や佐古の
集落は荒廃しない様に守るべきではなかったのではないでしょうか?

このまま放置すれば、跡津川の集落もいつかは廃村の運命をたどる様にも
思えます。

全国には、こういう廃村寸前の集落は数多いことでしょう。
街を整備したから村を捨て、街へ出ろ、という政治は如何なものかと
感じます。

以上をもちまして、有峰のチョウハイの道を辿ってみたシリーズの完とします。

長々と、読んで頂き、大変ありがとうございました。
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コメント 13

JUN

廃村の家屋を宿泊用に貸しているって
記事を何かで見ました。
場所は忘れちゃいましたが
たまには電気のない山での生活もいいですね。
by JUN (2012-08-01 13:16) 

aidesu

じっくりと読ませて頂きました。
一度訪れてみたいです。
by aidesu (2012-08-01 15:46) 

hrd

高齢化に過疎化で無くなっていく村は多くなるのでしょうね
しかし、古きよき時代の面影を残せるような努力も必要ですね^^
by hrd (2012-08-01 16:02) 

ma2ma2

原発で福島には廃村同然の村ができたので、こちらは住みたくたくても住めないのは残念です。
by ma2ma2 (2012-08-01 19:50) 

macharun

場所は違いますが、両親の実家にそっくりの風景です!
懐かしくなってしまいました。
by macharun (2012-08-01 22:23) 

元山陽ちとせ

>JUNさん、こんばんは。

なるほど、こういう環境に優れる場所であれば、
いっそ、別荘として貸し出す、なんて方法もあるかも
しれませんね。

>aidesuさん、こんばんは。

長いばかりで拙い記事にもかかわらず、ありがとうございます。
全国には、以前は行きにくかったけど、行きやすくなったところが
沢山ありそうです。是非、お出かけくださいね ^^

>hrdさん、こんばんは。

福島原発の件で、戻りたくても戻れなくなった村の方は、
ほんとに悔しくて、いたたまれない事でしょうね。
何年かかっても完全に除線して、住める様にするのが政治の責任
だと思います。

>macharun さん、こんばんは。

日本の山村では、よく見かける風景だと思いました。
こういうのが日本の原風景なのかも知れませんね。
日本の原風景がどんどん失われる事は、
日本人としての大切な何かを失う事なんでしょうね~

by 元山陽ちとせ (2012-08-01 22:42) 

starwars

廃村って悲しいですね。日本の歴史や文化を守るという観点で
保存や再興はできないのですかね。
by starwars (2012-08-02 07:15) 

Jetstream777

こんにちは、 まとめて拝見させていただきました。 いづれ山登りにも通る道です。大変参考になります。  麓に結構いいところがあるのに、素通り、見過ごしたりします。 事前に分かれば、楽しみはますでしょう。 でも、日本の田舎集落がさびれていくのは寂しいですね。

by Jetstream777 (2012-08-02 08:28) 

元山陽ちとせ

>starwarsさん、おはようございます。

特に歴史的、文化的に重要な集落は、
何か優先して保護したり、場合によっては、復興する、
という取り組みがあっても良いと思いますよね。^^

>Jetstream777さん、おはようございます。

ありがとうございます。
自分も登山するときに、今まで見過ごしてきた箇所が
沢山ありそうです。特に、訪れる箇所の歴史的な背景などには、
うとくて、もっと歴史的背景を知ることによって、訪れる楽しみが
何倍にも増えそうです。^^

by 元山陽ちとせ (2012-08-03 05:40) 

tromboneimai

大変興味深く読ませて頂きました。
昨年まで札幌に住んでいましたが、北海道には
至る所に廃坑とともに街全体が廃村になったところがあり、
よく撮影に出向きました。
風化し自然に戻っていく風景には得も言われぬもの悲しさがありました。

よろしければご覧ください
鴻之舞鉱山

http://tromboneimai.blog.so-net.ne.jp/2010-09-11

石狩の浜

http://tromboneimai.blog.so-net.ne.jp/2011-04-26
by tromboneimai (2012-08-04 02:12) 

たもぎ

お早う御座います。
超広角レンズ・14-24mm を持って行きたくなります。
by たもぎ (2012-08-04 09:32) 

ナビパ

標高の高い所は涼しげで良いですね。
by ナビパ (2012-08-04 17:00) 

元山陽ちとせ

>tromboneimai さん、こんばんは。

ご紹介ありがとうございます。
人が保守しないと、こうも自然は力強く、人間の痕跡を
自然の中に飲み込んでしまうんですね~
その力強さには畏敬の念を感じます。

>たもぎ さん、こんばんは。

雄大な自然を切り取るには、超広角レンズ、いいですね ^^
自分ももう1ランク広いレンズが欲しいと思います。

>ナビパ さん、こんばんは。

この日は、標高1000mでも暑くて、驚きました。
それでも空気がサラッとした感じで、気持ちよかったです。
この後、下に下りてくると、異常な暑さに閉口してしまいました。

by 元山陽ちとせ (2012-08-04 19:55) 

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