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有峰のチョウハイの道へ① [旅]

今年の夏山はどこにしようかと色々と悩んでおりますと、
昔、一度行ってとても印象に残っている場所を思い出しました。

それは、平成5~6年頃でしょうか、富山側から折立に入って、
雲ノ平と高天原に行ったときのことです。

雲ノ平と高天原もとても良いところでしたが、
その登山口だった有峰のことが妙に印象に残っています。

当時、小説か何かでダムの底に沈んだ有峰の集落のことが
書かれていて、そこにチョウハイという風習の事が書かれていたのです。

それは、とても物悲しい調子で書かれていて、
妙に印象に残っていました。

EP7309542.jpg

そんな印象が強く残っていたところに、富山側から有峰に入ったので、
有峰へと標高をあげていく途中、バスの窓からは、↑こんな冬用の通路が何度も見えて、
山深い有峰に入っていくんだな~と感慨深く感じていました。

印象に残っている有峰とチョウハイのことを少し調べてみようと思って、
ネットで有峰やチョウハイをキーワードに検索すると、
どうやら飯田辰彦さん著の「有峰物語」という書物に詳しく書かれていそうです。
でも、既に絶版になっています。

中古本も見つかりましたが、一応、カリール で蔵書検索してみたところ、
なんと府中市中央図書館にあるではないですか!

EP7229070.jpg

↑早速借りてきました。

この本を最後まで読んでみると、あとがきの次のページに、
月刊誌「山と渓谷」に平成5年10月号から平成6年2月号まで連載された内容に
加筆して再編集したものであることが書かれていました。

これで、ひとつ謎が解けました。
何かの小説ではなくて、山と渓谷に載っていたのでした。
当時、山と渓谷は熱心に購読してましたから、間違いなさそうです。

そして、有峰物語のチョウハイの部分を読み進めますと、
おおよそ次の様なことが書かれていました。

①有峰は平家の落人が隠れ住んだと言われる山奥深い隠れ里

②大多和峠を越えて、岐阜側に下る途中にある、
大多和、佐古、跡津川という跡津川谷の3集落は、
有峰から分離してできた親子関係(枝村)にある様な集落

③チョウハイとは、毎年初午の頃に有峰の女衆が、
まるで親戚関係の様な跡津川谷の3集落の家に
大挙して泊まりに行くという行事

④泊まりに行く家は固定されていて、それぞれ毎年同じ家に泊まりに行った。

⑤有峰の男達は女衆を大多和峠まで見送り、大多和谷の集落の
男たちは、大多和峠まで向かえに行ったという(帰りは逆の関係)。

⑥有峰の女衆は沢山の有峰の土産物を持参して、帰りには、
大多和谷の沢山の土産ものを持って帰った。

⑦有峰と跡津川谷の3集落の間に婚姻関係が結ばれることは
一度も無かった。

⑧有峰の人々は平家の武家の誇りを持って毅然として生きていた。

⑨チョウハイは有峰の集落がダムに沈むことになって集団離村するまで
続けられていた?

チョウハイとは、どうやら有峰の女衆の年に一度の里帰りの様な、
行事だった様です。
でも女衆だけで泊まりに行ったところからして、よからぬ想像をして
しまいますが、武家の誇りがそれをさせなかった、というのが
著者飯田さんの考えです。

いずれにしても、ダムの底に沈んだ有峰のことや、
チョウハイことは、なんとも、もの悲しい話です。

そうなると、やはり、夏山に行く前に、有峰に行っておかねばなりません。

CCF20120730_00000.pdf - Adobe Reader_2012-07-31_05-50-48.jpg
「有峰物語」より

地図を確認すると、岐阜県側からも飛越トンネルを通って有峰まで行けることが判りました。
当時は、富山側から行くしかなくて、遠くて行き難いところという印象でしたが、
平成7年にこのトンネルが完成した様で、平成9年完成の安房トンネルと合わせると、
かなり近くなっている筈です。

上の地図では有峰湖の南端の東谷から南に伸びる林道の先にあるのが
飛越トンネルです。

結局、今回の弾丸トラベラーズルートは、
中央道→松本I.C.→R158→安房トンネル→R471→見座→山吹峠→飛越トンネル→有峰
となります。約300kmのルートになります。
以前の富山回りだと500kmくらいですから、
随分と近くなったものです。

ちなみに以前は、未舗装の大多和峠経由でも入れた様ですが、
現在は、通行止めになっています。
飛越トンネルができて、役目を終えようとしているのですかね。

EP7279379a.jpg

↑そして、夜な夜な走って到着した飛越トンネルです。
最近、田舎の国境の峠道でこの種のトンネルを通ることが多いです。

EP7279381a.jpg

トンネルの手前には、無料の駐車スペースや簡易トイレもありました。
登山道も通じているので、ちょっとした登山基地になっている様です。
ん?今年の夏山の候補地発見か?

つづく。

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コメント 6

よしころん

私達、昨年が雲ノ平、高天原でした。
初北ア、大雨の洗礼を受けました ToT
有峰にはそんな物語が・・・ 私も図書館で探してみます^^
by よしころん (2012-07-30 18:35) 

元山陽ちとせ

>よしころんさん、こんばんは。

初北アで大雨とは、大変でしたね。^^
あの辺りは高原湿地になっていて、お花も多いところ、
また機会を見つけてトライしてみてくださいね~
有峰物語、有峰の歴史が良く判ります。文章ばっかですけどね・・・
by 元山陽ちとせ (2012-07-30 21:51) 

starwars

雪崩よけのコンクリートの入り口、これだけで大丈夫なの?って
感じですね。きびしい自然に立ち向かって作ったことがうかがえます。
by starwars (2012-07-30 23:20) 

元山陽ちとせ

>starwars さん、こんばんは。

今回は富山側には下らなかったので、
冬季通路の写真は無いんですが、以前の記憶では、
かなり長い区間、こうした冬季通路が作られていたと
思います。冬場に、この通路を通って、徒歩で保守に向かう
保守員の方は大変そうですよね。
by 元山陽ちとせ (2012-07-31 00:20) 

海を渡る

ダムに沈みゆく村にはそれぞれの物語があって興味深いですね^^。
by 海を渡る (2012-07-31 10:07) 

元山陽ちとせ

>海を渡る さん、こんばんは。

宮島や音戸の瀬戸などで、地元では平清盛と縁が深いので、
平家の落人が隠れ住んだ里というところで有峰には、
惹かれるものがありました。
基本、ダムも好きですしね。^^

by 元山陽ちとせ (2012-07-31 21:41) 

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